「こんな本はいりました」2000/10/06
「奄美シマウタへの招待」
小川学夫著・1999年8月10日・春苑堂書店・1500円(税別)
本書は昨年の本だが、なぜだか紹介していなかったのに気づいた。
ナナメ読みだったので、オ〜あわてでマジに読みなおしました。
目からウロコがウロウロ。ほとんどマッ白眼です。
先ずは目次を。
奄美の歌文化―神歌、童歌、民謡
唄と踊りのある風景
折節の歌
日々の暮らしの歌
恋心を歌う
歌半学の世界
歌われた神話・伝説・うわさ話
奄美シマウタ曲目小事典
奄美シマウタ研究の第一人者の道案内で、奄美をのぞくとどう見えるのか。
そこには、意外な奄美の顔があぶりだされてくるのです。ホント。
まずは奄美と琉球、奄美と大和のつながりがあちこちに見えてきて、
次ぎに、奄美有人八島のつながりと断層(違い)も見えてきます。
更に、奄美大島内部での北と南のフシギナ違い(断層)までもが……。
そして奄美固有の本来の姿が……。
「シマウタは奄美の百科事典だといってよい。
実にいろいろなことが歌われていることに驚く。
日常的な事柄はえてして、時代が過ぎると忘れ去られがちだが、
シマウタにきっちりと歌いこまれたくらしぶりは、ずっと人々の記憶に残っていくだろう。」
「奄美には、シマウタさえ知っておけば、学問の半分はやったのと同じだという考えがある。
それが「歌半学」の意味である。」
「シマウタが葬送と深くつながっていたことを考慮しなければならない。
…娘が婚礼のために家を出る時の歌と、旅立ちの歌とが一緒のケースがある。
南島の伝統的な考え方からすれば,この地を離れることは、
死も,旅も、他家へ嫁ぐことも同じだったのかもしれない。」
ガンチクの深いこの本によって、なんだかシマウタの世界が日常の中に生きていることを実感させらたし、
奄美の先人たちがウタに託してきた喜怒哀楽の価値観や哲学にもフレた気になってきた。
ウタは世につれ人につれ(マサニ!)です。
「八月踊り」の世界的価値も再認識させられた。
重要無形文化財がなんと多い島であることよ、奄美島。
やはり、読みやすく肩のこらない文章は、人の心の深いところまで染みこんでいくもんです。
もって肝に酩ずべき!!
>この欄の作文担当者。
(本処あまみ庵代表:森本眞一郎)
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