2001年8月22日(水)記 奄美 島唄ひと紀行 著者 籾 芳晴 発行 南海日日新聞社 2001年7月26日発行・1900円+税・334p ![]()
籾 芳晴さんは、南回日日新聞社の報道局長時代に,『碑のある風景―足でまとめた奄美大島史』(1980年発行)という名著の著者だ。 この本は「奄美の歴史の欠落部分を補う貴重な書」として評価の高い本である。ぼくも帰省以来、大変お世話になた。 南海日日新聞社は創刊55周年の記念事業として、本書と上記「碑のある風景」(絶版中)を同時出版した。内容的にも快挙といえる。著者は現在、同社の専務取締役。 本書のオビには、「唄の島といわれる奄美諸島。島唄は島民が心で記録した歴史書でもある。島唄に登場する人物に焦点を当てながら、島唄の深みと波乱に満ちた歴史を浮き彫りにする。南海日日新聞で連載され,反響を呼んだ新たな奄美史。」とある。 実際、本書では、奄美に生きた有名・無名のヒトたちの歴史をとおして、奄美の隠された史実を浮き彫りにしている。物語的な面白さと、詩的な直感力から織りなされた本書は、これまでの歴史家や島唄の研究家たちのテーセツに洗脳され続けてきたぼくたちシロートにも、新たな視点からわかりやすく史資料を提供・解説してくれている。 著者のまなざしは、奄美の底辺に生きた島民からのまなざしに徹底している。 大和の少数の役人だけではなく、多数の島役人たちに対する痛烈な批判は圧巻だ。 「人を恋うる島唄は、人と共にあるがゆえに時代や世相を謡い込み、数百年にわたって、「語り部」として存在するのだろう.。―(略)―公式の記録に残せない事件をさりげなく唄に残して語り継ぐ先人たちの知恵である。」(「あとがき」より) 奄美の島唄ファンなら必読の、記念碑的な力書です。 |
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