著:入佐一俊
私家版・平成10年7月31日発行
A5・P208・\760
「奄振」こと奄美振興事業をご存知でしょうか。「まったく知らない」という方は、当店発行の「奄美の振興開発」をご一読下さい。
では「奄振」を「知っている」方、「奄振」で具体的に何に使われて、何ができたかご存知でしょうか。
道路、トンネル、港・・・・とは思いついてもなかなか具体的なものが出てこないですよね。それが、この本ではズバリとわかります。
本書は、元・鹿児島県大島支庁長の入佐さんが個人的にまとめた「奄美振興事業」の実施地区の地名辞典です。地名をキーとしてその地名の読み・方言読み、市町村名、事業名(たとえば区画整理とか国道とかです)と実施年度を一覧としています。
採録された事業地区は3,100余り、補助事業種別は数百種類(本書より)にのぼります。さらに、巻末には地名の総画索引、方言古称索引まで。
著者の入佐さんは「奄美関係資料目録」(残念ながら絶版)という奄美書籍の目録も出しています。
島の地名辞典としても一押しです。
個人的には私のシマの話しを友人とかにするのですが、「小学校の低学年ごろまでは川で泳いだりタナガとって食べたりしてたけど、河川工事で今はできない」といいながら、正確にそれがいつ工事で泳いだりできなくなったか覚えてなかったりします。それがこの本にちゃんと掲載されているんです。
それと、「奄振」の是非について考えたりしながらも、具体的に何が「奄振」で残されてきたのか、特に「事業」という面を見落としていたような気がします。本書を読んで、「エッ、あれも奄振でできたの」というところがたくさんありました。
「わが母校は改築されてしまったのかな?」と思う方も、この本でスッキリしますよ。
(mizuma)
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