著:小坂井 澄
集英社・1984年7月25日第一刷発行
四六版・P269・古本売値\4,000
島の信仰というのもあまり知られていないのではないでしょうか。
昔からのものとしてはノロ・ユタがいます。これについては神谷裕司さんの「奄美、もっと知りたい」の第一章に現代のノロ・ユタを取り扱ってますのでご一読下さい。
そして、奄美に実際に来て見ると気づくことですが、教会が多いのです。名瀬市内にも多数の教会がありますし、小さな集落に教会があって驚くことがあります。
本書はそのキリスト教が奄美に入ってきた明治のころからの歴史の本です。
最初の章から驚かされました。昭和の初めの国粋主義が台頭していた時代に、「日本人」になろうとした当時の奄美の人々がキリスト教という「日本で異端」のものをどれだけ排除しようとしたかという章から始まります。
島の昔からの信仰と「日本」化しようとする外からの人と島の人、その中で自分の信仰を守り通そうとする人々とそれを弾圧する同じ島の人々。
薩摩藩支配時代の受難の歴史を知る本は多数ありますが、その後の島の人々がどこへ行こうとしたのか(日本人になろうとしたことがどういうことだったのか)、そのために何を排除していこうとしたのかを知る貴重な本です。
(mizuma)
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