2009年8月4日
鹿児島県都市計画審議会殿
住所 鹿児島県奄美市名瀬末広町7−11
氏名 森本眞一郎 印
職業 古書店 年齢58歳
名瀬都市計画事業末広・港土地区画整理事業 事業計画変更(案)への意見書
名瀬都市計画末広・港土地区画整理事業について、以下の通り、意見書を提出いたします。私は、この事業計画変更(案)に絶対反対です。
また、私はこの意見書の提出と併せて口頭での意見陳述を申し立てます。
【要旨】
この計画の変更をしても、中心商店街の活性化にはなりません。
当局には、この計画で減歩率や事業予算が変更になったとしても、
奄美市が活性化するという根拠が何もないからです。
都市計画の決定には中心商店街全体の合意形成が必要です。
【理由】
(1)
私は末広町で商店を営んでいます。
この事業が実施されると私は店を続けていくことができなくなり、将来の生活設計がなりたちません。これからも商いを続けながら、生活しなければ生きていけない私にとって、一生を左右する大変な問題です。私の職業選択の自由や生活権などの基本的人権を侵害しないでください。
(2)
事業化にあたっての営業補償や休業補償などはたとえあったとしても雀の涙
にしかすぎません。そんなものより、廃業保障を要求します。
私たち家族の一生をだいなしにしてしまうこの計画は、「中心商店街の活性化のため」としていますが、それは建前にしかすぎません。計画の本音はマリンタウンと拝み山トンネルを結ぶためであり、事業のための事業です。そして、それにともなう、ハコモノや住宅再建築などの建設事業のためです。100億円の事業費のうち、道路には2億円、その他は建築のための際地区補償費です。そのために、私の店はつぶされてしまうのです。
(3)
約10年間近くの工事期間によって、もし、私が商店街に戻ってくるにして
も私など弱小の商店には、今のように身の丈に合った店舗は保証されていません。
また、再開店するにしても行政からの金額的な保証はなく、この不況下では自前の資金もありません。さらに、無責任なことには、事業を推進する行政には、将来の新商店街のビジョンや工事着手後の具体的な店舗の建設計画などがなにもないことです。
(4)
私は、商店街の活性化には大賛成です。
しかし、都市計画が決定されようとしている現在でも、私にはこの事業を理解し、協力するための判断材料を提供されていません。
ここ数年間、当局を呼んで開いた商店主たちの勉強会でも、役所から「あなたは都市計画区域内に決定しましたから、今の商売は中止して、いったん立ちのいてください。あとは、家主との交渉にまかせます」というような、一方的に通告であり、まるで、切捨てごめんです。
(5)この計画は、中心市街地の活性化にはつながりません。
なぜなら、この計画の実施後、将来の中心商店街の街来者数、居住者数などの数値目標や、人口対策、産業政策などの指標が示されていないからです。活性化は絵に描いたもちです。
(6)平成29年にこの事業は完成する予定だそうです。
しかし、私は、これから平成29年までの10年間、なんとか今のままで、改善しながら商いを続けていく道を選びます。それは、今後とも家族の生活を支えていく商店主としては当然の選択肢だからです。この事業にかかわる関係者たちは、もっと利害関係者や当事者たちの身になって考えるべきです。私が望みもしない一方的な計画によって犠牲になる私たち商店経営者の責任をだれがとるのですか?
(7)私がこれまでに営々と築いてきた財産権や営業権、そして生存権などを、行政と業界の関係者たちの利権のために侵害するのは違法行為です。
この計画は、結局は、道造りと、まちの移転・移設のためのまち壊し事業といわざるを得ません。
(8)
回答者のうち76%が計画に反対しています。この数字が意味することを真剣に考えるべきです。
この事業計画は計画区域内の商店経営者はもとより、区域に隣接する商店主たちにとっても自分の商店街の将来を左右するほどの一蓮托生の重大な事業だからです。
このように肝心の中心商店街の合意形成がまったく得られていない状況下で、商店街のためという名目で計画を一方的におし進めることは、事業のための事業でしかありません。
(9)
このまま、話し合いを重ねることもなく、商店街や利害関係者たちの合意形
成を無視して、計画を進めるのは違法行為です。
この計画で犠牲になる商店経営者たちへの補償責任はいったい誰が取るのですか?県都市計画審議会では、審議委員の責任もふくめて、決定にあたっての責任の所在をぜひ審議するべきです。
(10)だれのため、なんのための都市計画ですか?
最後に重ねて申し上げます。本計画に対する中心商店街の合意形成はまったく得られていません。それがなによりも問題です。現状では大変な事態を招きます。
以上